医師たちの目線

どうして医師がなりやすいと考えられていたのか

医師としての資格が存在していなかったがために、江戸の町では闇医者、他にやぶ医者と称することのできる技術的な面で本当に病気を治すことができるのかどうかと、疑わしき人間もいたということを考えると、中々に酷い状況だったのだろう。しかしどうしてこうまでしてそんな医師が増えたのか、単純に稼ぎが良いとはいっても薬代だけしか取得できないはずの江戸の医師のはずだが、何をもってして働きやすかったというのだろう。

それを意味するところは、当時の江戸における状況によって示唆する事が出来る。現代日本において様々な施設によって、私達の暮らしは清潔に保たれているが、江戸の世でそれが可能だったかと聞かれたら、当然不可能だと述べるに値する惨状だったと言われている。特に下水道システムの開発は日本だけでなく、世界規模でこれほど素晴らしい循環装置が出来上がったことを喜ぶべきところだ。江戸のようにまだ産業革命などという言葉が来る以前に、機械と呼ばれるものは当然存在していなかったので糞や屎尿などは人力で後始末しなければならなかった。これが何を意味するのかというと、当然それらには人体に悪影響をもたらすことになる雑菌などが混在しており、江戸の町におよそ住んでいた100万人という人々の糞尿を片付けるという、当然その仕事を生業としている人々は毎日闊歩しなければならないのだろうが、到底追いつくわけはない。そのため、江戸はそこかしこに病気に感染している人々で溢れ返っていたと見られているのです。そうすると適当に処方した薬を渡せば良いと、そう考えるようになったのかもしれない。

そんな江戸時代において医師こそ明確な資格は存在していなかったが、医師毎に身分というものは存在していたというのです。これはそれまでの医療に従事していた人々には見られなかったことになる。ここではそんな江戸時代における医師についてもう少し深いところまで追求してみることにしよう。

身分が存在していた

江戸時代において医師といっても一言で括れないほどに細分化されていた、当然ながら医療としての技術が伴わないものは医師として見なすことはできないので、ここでは除外して話を進めていく。では本来あるべき技術を持って医師として活動している人々には、どういった身分が提示されていたのかについて話をしてみよう。この頃の医師における身分とは、仕えている場所によって大分することが出来る。具体的に言うと、次のように分けられる。

  • 朝廷医【御所専属】
  • 宮医【幕府専属】
  • 藩医【各藩専属】
  • 町医【開業医】

主に4つに分類することが出来ており、それぞれの身分に置いて該当する人々の体調について管理することを中心に仕事をしている。

またこの事態の石の特徴として見られているのが、剃髪か、それとも束髪にしているかという容姿においても違いを見せていた。束髪はともかく、剃髪については特別言及するところでもないだろう。医療の発端を考えれば元は僧侶達が学んでいた技術だという点に着目すれば、自ずと分かることだ。そうした中で基本は剃髪だった医師の中から、束髪を始める医師も出てくるようになり、外見的な差についても二分するようになっていく。

朝廷や幕府に仕えている医師たちが重用されるようになっていったのは、それに見合うだけの技術を備えていた事は間違いない。もちろん医師として活動していた人々の中には真面目に人命救助を行っていた者達もいた。そうした中でも何かと問題だった町医については劣悪になって行くだけなのかと聞かれるとそうでもない。むしろこの時代になったことによって、開業医として活動している人々は更なる躍進を遂げることになった、そんな側面もある。

開業医はきちんと習熟している人々が多かった

開業医として活動している人々、そうした中には多くのやぶ医者が存在していたが、そうした人々が実際に処方して症状が良くならないと口伝に広まれば当然、そんな医者に掛かろうとする人の数は減っていくものだ。また江戸に住んでいるからといって身分的なもので金銭を支払うことが出来ない人々も当然いる。江戸時代における医療の問題点としては、かつては貧しい人々が掛かりつけることができる医療施設が国から提供されるなど、積極的な部分もあったが、徳川の政権になってからそうした施設を提供したのは、なんと八代目将軍の『徳川吉宗』が提供した、『小石川養生所』くらいだという。何がどうなってこうなってしまったのだろう、こうした世情での動きも相まって闇医者を増やすことになってしまったのかもしれない。

そんな中、開業医として従事する人々の中には医家から直接医師としての心得を受けることもあれば、また儒学を通して医書から医師になろうと決意したものもいます。こうした人々にとって医療とはいかにあるべきか、ということを骨身に染みて理解しているので問題ないと思いますが、それでも技術がまるで伴わない医師が多かったことに変わりはない。そのために問題は解決する事はなかったかもしれませんが、この当時こそ医師不足というべき状況が起きていたといえるのかもしれない。

日本の医療史の始まりは・・・。